最近、日本各地でクマの出没や被害が相次いでいます。秋田市のスーパーで従業員がクマに襲われ負傷した事件や、北海道でのクマ出没のニュースは、自然環境の変化や人間と野生動物の共存の難しさを浮き彫りにしました。
このような状況で、10年以上銃砲を所持し、狩猟を経験してきた私には考えることがあります。
日本での銃砲所持と狩猟免許について
日本では、適切な手続きを経れば散弾銃、ライフル、空気銃、火縄銃を所持することが可能です。これらはクレー射撃や狩猟に用いられます。ここで知っておくべきなのは、銃砲所持許可と狩猟免許は別の資格だという点です。
銃砲所持許可は、銃そのものを所持するために必要な資格です。一方、狩猟免許は実際に野生動物を狩るために必要なもので、環境省が管理しています。
私自身、クレー射撃大会での入賞や、北海道や関東近郊での狩猟経験を通じて、多くの学びと課題を感じてきました。
高齢化と若手猟師の課題
狩猟界の現状として、高齢化が進んでいることが大きな問題です。一部の猟友会では、メンバーの平均年齢が70歳を超えることもあります。
狩猟は山を歩き回る体力や、獲物を解体する技術が求められるため、若い人材の参加が期待されています。
しかし、若手が狩猟グループに入る際には以下のような壁があります。
- 人間関係の難しさ:高齢のメンバーが多いグループでは、若手が雑用を任されることが多く、馴染むのに時間がかかる。
- 時間とお金の負担:狩猟を始めるための初期投資や活動費が高額で、継続が難しい。
- 参加のしにくさ:仕事や家庭の都合で頻繁に参加できない若手も多い。
北海道の猟区では、ガイド付きのエゾシカ猟などが行われています。これには1日3万円以上の費用がかかりますが、道具や場所の準備が整っているため、初心者にも参加しやすい環境です。
一方、関東近郊ではこのようなサービスが少なく、グループで協力しながら狩猟を行う必要があります。
銃砲所持者の減少とクレー射撃
さらに、銃砲所持者の減少も問題視されています。近年、日本人がオリンピックのクレー射撃競技で活躍する場面は少なくなりました。
過去には女性シューターがメダルを獲得し、政治家の麻生太郎氏もクレー射撃選手として知られていましたが、現在はそのような話題も少なくなっています。
銃砲所持者が減少する理由は
- 経済的な負担:銃の所持や狩猟登録には年間10万円程度の費用がかかります。クレー射撃は1ラウンドで1500円以上かかり、週1回練習すると月5〜10万円の出費が必要です。
- 練習環境の不便さ:射撃場は地方に多く、アクセスに車や高速代、ガソリン代が必要です。
- 若者の関心の低下:狩猟や射撃に興味を持つ若者が少なく、競技人口も減少しています。
若手の参加を増やすには?
狩猟や射撃の存続には、若手の参加が欠かせません。
そのためには、以下のような施策があればいいなと思います。
- 初心者向けのサポート制度:北海道のようなガイド付き猟のサービスを全国的に広げる。
- 費用の軽減:狩猟免許取得や銃砲所持の手続きにかかる費用を補助する。
- コミュニティの改善:若者が参加しやすい、フラットな関係性の狩猟グループを増やす。
まとめ
クマの出没が増える中で、狩猟は自然環境との共存を目指す上で重要な役割を果たしています。しかし、狩猟人口の高齢化や若手の参入障壁といった課題も多いのが現状です。
狩猟や射撃は、費用や環境の面で厳しい部分もありますが、自然と向き合いながらスキルを磨く魅力的な活動です。
これを存続させるために、若い世代が参加しやすい仕組みづくりが必要ではないでしょうか。